『ダイバーズ!』 第二十章 【未登録ナンバー】 ①

「他に情報は?」
 胸の前で腕を組んだ黒木冴子が、コックピットで立体スクリーンを囲んでいる全員の顔を見回した。沢田は、黒のセダンのことがずっと頭の片隅に引っかかっていた。
「あの……、今の戦闘のことじゃないんですけど、誰かが僕を監視してるみたいなんです」
「いいわ。話せ」
「昨日、気がついたんですが、黒い大型セダンが家の近くに停まっていました。車自体、停まってることがめずらしい地域なんで、ナンバーを調べたら、未登録ナンバーでした。昨日の朝と夜、そして今朝も別々の場所ですけど、僕が最寄りの駅まで行く途中です。考えすぎかもしれませんけど。少なくとも、未登録ナンバーと言うことは、まともな車じゃありません」
「長谷川、調べられる?」
「あぁ、やってみよう。沢田の住んでる所は、新東京市のこのあたりだな」テーブル上の立体スクリーンに映し出された地図を、長谷川が手繰り寄せては拡大していった。沢田が住むマンションの画像が中央に映し出された。「これが沢田のマンションだ。今朝のその車の位置を教えてくれ」
 沢田は前に出ると、スクリーンの左端を指さした。
「この道を進んだところです」
「こっちか」
 長谷川がスクリーンを左から右へと手でなでると、画像がゆっくりと右へ流れた。
「ここを、こっちへ曲がります」沢田の誘導で、長谷川がスクリーンを上から下へと撫でた。「あ、ここです。ここに停まってたんです」
「時間をおしえてくれ」
「家を出たのが六時四十分なんで、ここを通過したのは、六時五十分から六時五十五分の間だと思います」
「よし、じゃあ、六時五十分にセットしてみよう」スクリーンの右下に「2099-12-17 06:50」と白い文字で表示され、画面の中央に、『Downloading』の青い文字が点滅した。「こいつが、今朝六時五十分の衛星画像だ」
 画面に黒いセダンが映し出された。真上から見た映像だった。