『ダイバーズ!』 第二十五章 【暴力と血と】 ④

「ヤクザの事務所になんで僕らが突入するんですか。ヤクザの相手なら警察のはずです」

「あの車よ。おまえを付け回していた車と、病院から三人の体を持ち去った車を、長谷川が衛星を使って見つけた。二台とも、この事務所に出入りしている。組長の飯島には聞きたいことが山ほどある。奴をとらえて、ここに連れてくること。それが今回のミッションだ」

「隊長、裏はおれと原田で固めた」

 菊池のつぶやきが聞こえた。 

「さて、こっちも出るぜ」

 後藤が運転席から身を乗り出して後部座席のシートを持ち上げた。シートの下を見てぎょっとした。巨大なマシンガンと銃弾が並んでいた。

「後藤さん、戦争でもやる気なんですか」

 後藤は答えようともせず銃と弾を物色した。

「隊長、後藤さんがこんなもの持っていったら、他の組の殴り込みだと思われます。ケンカを売るようなもんです」

 黒木冴子の軽い笑い声が聞こえた。

「どのみち、後藤はかたぎには見えないわ。同じことだ」

「けっ」

 後藤がマシンガンを手に取って、弾倉の束を肩にかけた。銃座にでも取り付けるような巨大なマシンガン。

「隊長、さすがにこれは危険です。一般人なら、こんなカッコで来られただけで逃げ出します。ヤクザ相手にこんなカッコで入っていったら、なにが起こっても不思議じゃありません。これじゃ戦争です。いきなり撃たれても不思議じゃない」

「いきなり銃を撃ってくるって? 上等ね、全員、銃刀法違反でめでたく検挙だ」

「隊長、仕事にならねぇぜ。こいつはここに置いていくから、このまま話し相手になってやってくれ」

「沢田、作戦の障害になることは許さないわ。おまえは後藤の援護として、しっかり働け。それがおまえの任務だ」

 後藤がマシンガンを片手に運転席から滑り出るとビルに向かって走っていった。沢田の言うことなど、気に留める様子もない。沢田はジャケットの下のホルスターからマグナムを引き抜いて、後藤の後を追った。