自分は献血ができないと思う前に
慢性的な輸血用血液の不足に悩む医療現場の思いとは裏腹に、さまざまな身体的理由から「いま自分は献血ができない」と自己判断しているひとが多いという。
ここでは日本赤十字社の公式発表をもとに、誤った自己判断で献血を避けている方々の誤解を解いてゆく。
献血ができないケース
まず、献血ができないケースを具体的にあげると、以下の13項目となる。(日本赤十字社:「献血をご遠慮いただく場合」)
- 当日の体調不良、服薬中、発熱等の方
- 出血を伴う歯科治療(歯石除去を含む)を受けた方
- 一定期間内に予防接種を受けた方
- 6カ月以内にピアスの穴をあけた方
- 6カ月以内にいれずみを入れた方
- 外傷のある方
- 動物または人に咬まれた方
- 特定の病気にかかったことのある方
- 海外旅行者および海外で生活したことがある方
- 輸血歴・臓器移植歴のある方
- エイズ、肝炎などのウイルス保有者、またはそれと疑われる方
- クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の方、またはそれと疑われる方
- 妊娠中、授乳中等の方
いかがだろうか。「自分には該当しない」と思った人が多いのではないだろうか。予防接種やピアス、いれずみも一定期間を経過していれば献血は可能となっている。
献血ができないと誤って理解されているケース
自己判断で献血ができないとしているケースで、圧倒的に多いのは「薬の服用中」だ。じつは、薬を服用しているからと言って、すべてが献血不可というわけではない。献血可とされているケースを赤十字社のHPから抜粋すると(日本赤十字社:「よくあるご質問」)
①健康増進のためのサプリメント(ビタミン剤、ミネラル剤など) ※貧血治療中を除きます。
②胃腸薬 ※感染性下痢症状がある場合を除きます。
③降圧薬 ※血圧がほぼ正常域にコントロールされている場合。
④漢方薬 ※肝疾患、感冒、ぜんそくなどのために服用されている場合を除きます。
⑤高脂血症治療薬 ※一部の治療薬を除きます。
⑥アレルギー治療薬 ※一部の治療薬を除きます。ぜんそくのために服用されている場合は症状により判断させていただきます。
⑦少量の女性ホルモン・避妊薬(ピル) ※更年期障害や月経困難症などの補充療法に服用されている場合は献血いただけますが、緊急ピルの場合は除きます。
⑧局所投与の薬物(点鼻薬、点眼薬、塗り薬、貼り薬) ※広範囲に使用されたり、感染症による場合を除きます。
⑨抗潰瘍薬 ※潰瘍予防薬として服用された場合。
⑩緩下剤
この10品目は、原則「献血可」なのである。特にアレルギー治療薬は「強めの薬」という一般的イメージのために、献血を避ける方が多いが、ぜんそくなど一部を除いて、受け入れ可能な薬である。
街頭で献血車を見かけて、「自分は、・・・だから献血できない」と思う前に、是非ひと言スタッフに声をかけてみてください。あなたが思うほど、献血の門は狭くありません。
この記事を読んでいる、いま現在も、日本中の数多くの病院で、輸血用血液が運ばれてくるのを心待ちにしている患者がいます。